そろそろ新しい3Dプリンターを買おうかなと悩んでいます。
現在はBambu Lab A1 miniが2台、Bambu Lab A1が1台の合計3台をメインに使って販売品を作っているんですが、生産能力が足りなくなってきました。

Bambu Lab A1シリーズには特に不満がないので、同じものを買い足すのもアリっちゃアリ。
ただ、去年から僕はガジェット系のYouTubeチャンネルを開設したんですが、3Dプリンター関連の動画が人気なんですよね。
チャンネル登録してくれた人のほとんどが3Dプリンターに興味があるみたいで、逆にいうと3Dプリンター以外のガジェット動画だとほとんど伸びません。
ということで、折角なら今まで使ったことがない3Dプリンターを買ってレビュー動画も作っちゃおうということで、候補に上がったのが「Creality SPARKX i7」と「Anycubic Kobra X」の2機種です。
どっちを買うべきか悩んでいるので、思考の整理も兼ねて記事を書いていきます。
ツールチェンジャー方式と、従来のシングルノズル方式どっちがいい?
「多色造形なら最近はツールチェンジャー方式の3Dプリンターの方が熱いじゃん。なぜそっちを買わないの?」って人もいそう。
一応簡単に説明しておくと、下記のような違いがあります。
- シングルノズル方式:フィラメントの切り替え時に、別の色のフィラメントが混じらないようにPoopと呼ばれるゴミが出る
- ツールチェンジャー方式:フィラメント1色ごとに別々のノズルを割り当てることで、切り替え時にPoopがほとんど出ない
ツールチェンジャー方式のイメージが掴めるCreality公式の映像があったので、貼っておきます。
ゴミが出ないならツールチェンジャー方式の方がいいのでは?と思うかもしれませんが、そんなに簡単な話でもありません。
シングルノズル方式とツールチェンジャー方式の3Dプリンターは価格差が結構あるため、人によってはツールチェンジャー方式を買うと、かえって損することがあります。
要するに、差額をPoopで無駄にしたフィラメントの価格で回収できないなら、ツールチェンジャーを買うと損です。
僕の場合は、そもそも多色造形をそこまでやる予定はなく、古いフィラメントが切れた際に新しいフィラメントを継ぎ足すのが目的なので、ツールチェンジャー機を買っても得になりません。
多色造形をするならツールチェンジャー方式の方がいい?
ちなみに、多色造形をやる人でも、ツールチェンジャー方式を買ったほうがいいかは人によります。
差額で損益分岐点を計算してみましょう。
ツールチェンジャー方式の安い機種は15万円前後(Snapmaker U1)、シングルノズル方式の多色造形対応プリンターは5万円前後なので差額は約10万円。(2026年8月現在)
フィラメントの値段は1kgで約2,500円。
100,000÷2,500=40kg、つまりフィラメント40kg分のPoopを出すことで、ようやく得になります。
一般的に、多色印刷1回でのPoopの重さが100g~200gくらいなので、フィラメント代だけで考えると、200~400回造形することで元がとれる計算です。
ちなみに電気代についても考えておくと、下記のような感じ。
- シングルノズル方式:消費電力は低め(約110〜130W)だが、色変更に毎回時間がかかるため、総稼働時間が長くなる。
- ツールチェンジャー方式:複数ヘッドの待機加熱などで消費電力はやや高め(約150〜200W)だが、ノズル変更が一瞬で終わるため、総稼働時間が半分近くまで短縮される。
電気代を試算してみました。
- 印刷時間:15時間
- 消費電力:120W(0.12kW)
- 電気代:0.12kW × 15時間 × 31円 = 約56円
- 印刷時間:8時間
- 消費電力:180W(0.18kW)
- 電気代:0.18kW × 8時間 × 31円 = 約45円
フィラメント代と電気代を考えて、どれくらいの期間で差額が回収できるかを計算した表も作ってみました。
| 印刷頻度 | 100g排出/回(計388回で回収) | 150g排出/回(計259回で回収) | 200g排出/回(計194回で回収) |
| 毎日 2回 | 約 6.4ヶ月 | 約 4.3ヶ月 | 約 3.2ヶ月 |
| 毎日 1回 | 約 1年1ヶ月 | 約 8.5ヶ月 | 約 6.4ヶ月 |
| 2日に 1回 | 約 2年1.5ヶ月 | 約 1年5ヶ月 | 約 1年1ヶ月 |
| 3日に 1回 | 約 3年2ヶ月 | 約 2年1.5ヶ月 | 約 1年7ヶ月 |
| 4日に 1回 | 約 4年3ヶ月 | 約 2年10ヶ月 | 約 2年1.5ヶ月 |
| 5日に 1回 | 約 5年4ヶ月 | 約 3年6.5ヶ月 | 約 2年8ヶ月 |
| 6日に 1回 | 約 6年4.5ヶ月 | 約 4年3ヶ月 | 約 3年2ヶ月 |
| 1週間に 1回 | 約 7年5ヶ月 | 約 5年 | 約 3年8.5ヶ月 |
おそらく、3Dプリンターは2~3年で買い替えている人が多いので、3~4日に1回は多色造形をする人じゃないと元がとれません。
古くなったらメルカリ等で売る場合も計算しようかと思ったんですが、
- ツールチェンジャー機は今後どんどん安くて高性能なものが出てくるのはほぼ確実
- ツールチェンジャー機は構造が複雑で修理が大変なので故障リスクが大きい中古品は敬遠されそう
などの理由で、15万円の現状の最新機種を買ったとしても、数年後はリセールバリューがかなり下がっている可能性もあるなと思い、計算をやめました……。
mokeppiまとめると、下記のような人ならツールチェンジャー機を買ってもいいかもしれません。
- 販売目的で多色造形物を大量に作る人
- 趣味だけど2~3日に1回は多色造形をするヘビーユーザー
- とにかく早く多色造形を終わらせたい人
ツールチェンジャー機がいくらになれば週1回くらいの多色造形でも元が取れるのか?
話の本筋からは逸れますが、気になったので計算してみました。
「週に1回だけ多色印刷をする人」が、3年間でフィラメント代+電気代の差額だけで元を取る場合、ツールチェンジャー機のターゲット価格は「約9万〜11万円以下」となります。
| Poopの重さ / 回 | 1回あたりの節約額 | 3年間の総節約額 (156回) | 損をしないツールチェンジャー機の価格上限 |
| 100g/回(小・中規模) | 約 250円 | 約 39,000円 | 約 89,000円 |
| 150g/回(標準) | 約 390円 | 約 60,840円 | 約 110,840円 |
| 200g/回(大規模) | 約 515円 | 約 80,340円 | 約 130,340円 |
11万円なら、意外と近い未来に実現しそうな気がします。
なぜSPARKX i7とKobra Xで迷っているのか
「ツールチェンジャー方式を選ばない理由は分かった。じゃあ、なぜSPARKX i7とKobra Xなの?」という疑問にもお答えします。
これに関しては明確な理由があるわけではありませんが、最近YouTubeなどでよく見かけるので気になっているからです。
CrealityもAnycubicもいろんな3Dプリンターを出していますが、それぞれのメーカーHPを見ると、今後この2機種を主力商品にしたいんだろうなという感じがあります。



ロングセラーのBambu Lab A1に似せて作っているので、ライバル機種としてロングセラーにしたいんだろうな…。
ただ、ひとつ言いたいんですが、CrealityもAnycubicも新製品をポンポン出しすぎ!!
全く違う機能がある機種ならまだしも、「これなにが違うの?」みたいな似た機種を出していて、自社製品でカニバっているように思えてなりません。
CrealityにはHi Comboというやつがあるんですが、これはシングルノズル方式のガントリー型3Dプリンターで、多色造形にも対応しています。
一方で候補に上げているCreality SPARKX i7はなんと、シングルノズル方式のガントリー型3Dプリンターで、多色造形にも対応しています!!!
ほぼ同じやんけ!!
Anycubicでも Kobra Xに似たKobra 4という新しい機種が既に出ています。
おそらく、色んな機種を出して、売れなかった機種は生産終了し、売れた機種だけ残していくみたいな感じだと思いますが、買う方からすると「結局どれ買ったらええねん」としかなりません。
せっかく買った機種がすぐ生産終了してしまったら、ノズルやプレートなどの消耗品が手に入りにくくなってしまうので、できるだけ長く残りそうなものを選びたい。
ということで、「主力商品にしたい感あるし、そんなすぐには生産終了にはならないのでは?」と思ったのも、SPARKX i7とKobra Xを購入候補に挙げている理由です。
SPARKX i7とKobra X、それぞれのメリット・デメリット
もうここまで3500文字くらい書いているわけですが、ようやくSPARKX i7とKobra Xの比較をしていきます。
ということで、まずはスペックで簡単な比較表を作りました。
| Creality SPARKX i7 | Anycubic Kobra X | |
| 造形サイズ (W×D×H) | 260 × 260 × 255 mm | 260 × 260 × 260 mm |
| 最大印刷速度 | 500 mm/s | 600 mm/s(推奨 300 mm/s) |
| 最大加速度 | 10,000 mm/s² | 20,000 mm/s² |
| 多色印刷 | 外付けユニット(CFS Lite)が必要 | 本体のみでOK |
| ノズル最高温度 | 300 ℃ | 300 ℃ |
| ヒートベッド最高温度 | 100 ℃ | 110 ℃ |
| 本体サイズ (W×D×H) | 470 × 423 × 456 mm (※別途CFS Lite幅約23cmが必要) | 441.5 × 448.8 × 451.3 mm (※多色機構内蔵でコンパクト) |
| 本体重量 | 約 9.12 kg | 約 9.5 kg |
| ディスプレイ | 2.85 インチ タッチパネル | 3.5 インチ タッチパネル |
| カメラ | 搭載 | 搭載 |
| 付属スライサー | Creality Print(Orcaベース) | Anycubic Slicer Next(Orcaベース) |
| セール時の価格 | 約 49,000円 〜 55,000円 (※Color Comboの価格) | 約 42,000円 〜 52,000円 |
スペックだけで見ると、ほぼ同等か、ややKobra Xの方が良いような気がします。
ただ、個人的に重視しているのは下記のポイントです。
- 造形のクオリティ
- メンテナンス性
- スライサーソフトの使いやすさ



レビュー動画などを見て、上記のポイントを比較していきます!
造形クオリティ
YouTubeで実際に使っている動画をいくつか見てみたんですが、造形物クオリティに関してはそこまで違いが分かりませんでした。
おそらくどちらもBambu Lab A1を真似しているため、どちらも基本的なクオリティはそこそこ高いみたいです。
造形クオリティに関して気になる点①:フィラメントの防湿
気になるのがフィラメントの防湿システムについて。
僕はPLAフィラメントをメイン使用しているんですが、PLAフィラメントは湿気の影響を受けやすく、梅雨~夏は防湿しないと造形クオリティが落ちてしまうことが多いです。
なので防湿しながら造形できたらベスト。
SPARKX i7は4色の多色造形ができるColor Comboを購入するとCFS Liteというフィラメントボックスが付いてきます。


一方で、Kobra Xは本体だけで4色までの多色造形なので、本体のみを購入をする人が多いみたいです。


ちなみに、Kobra XにもACE 2 Proというフィラメントボックスが付いてくるコンボ商品もあります。


2026年8月現在、それぞれのセール価格は下記のような感じ。
- SPARKX i7 Color Combo:約 54,000円 〜 60,000円
- Kobra X単体:約 46,999円 〜 53,000円
- Kobra X Combo:約 79,000円
ただし、フィラメントボックス自体にも下記のような違いがあります。
- CFS Lite(SPARKX i7付属):乾燥機能がなく、箱に乾燥剤を入れる必要がある。
- ACE 2 Pro(Kobra X付属):本体のみで乾燥機能あり。
こうやって比べると「あっちを立てればこっちが立たず」感がすごい。
松竹梅的な観点で見れば、SPARKX i7のColor Comboが真ん中なので、一番バランスがいいのかもしれません。
メンテナンス性
調べた限り、メンテナンス性はSPARKX i7の方が良いみたいです。
まず、どちらのプリンターもノズル交換はワンタッチで可能な点は共通しています。
ただ、フィラメントが詰まった時のメンテナンスがかなり違いそうです。
SPARKX i7の詰まり解消方法を紹介した動画が下記。
Kobra Xの動画が下記。
Kobra Xはエクストルーダーの構造が複雑なため、フィラメントが詰まった時の分解作業に時間がかかるみたいです。
多色造形だとフィラメント切り替え時に詰まってしまうことは割とよくあるので、この点は気にした方がいいかもしれません。
スライサーソフト
スライサーソフトはどちらもOrca Slicerがベースになっている、独自の公式スライサーがあります。



Orca Slicerは人気のオープンソースソフトで、各3DプリンターメーカーはOrcaをベースに独自スライサーソフトを作っていることが多いです。
どちらもOrca Slicerベースなので、使い勝手にそこまで大きな違いはありません。
ちなみにOrca Slicer自体も使うことができますが、Kobra Xはネットワーク経由での直接送信ができず、USBメモリでデータ移行をしないといけないみたいです。
(SPARKX i7はネットワーク経由でデータを本体に直接送信可能)
なので、Orca Slicerを使いたい人はSPARKX i7の方が使い勝手がいいと思います。
また、それぞれのスライサーソフトは独自の3Dモデルクラウドサービスと連携していて、他のユーザーが作ってくれた3Dモデルをダウンロードすることも可能です。
ただ、モデル数に大きな差があるようで、Creality Cloudの方がダウンロードできる3Dモデルがかなり多いようです。
「Creality CloudでダウンロードしたモデルをAnycubicのスライサーに取り込む」といったこともできるので、大きなデメリットではありませんが、3Dモデルを自作しない人の場合はAnycubicのスライサーだけで完結させるのは少し難しいかもしれません。
メーカーの純正スライサーを使いたい人なら、Crealityの方が良さげですね。
その他気になった点
レビュー動画などを見ていて、その他にもいくつか気になった点がありました。
- 多色印刷時、Kobra XはBambu Lab A1に比べてPoopが少なめらしいが、SPARKX i7はA1とほぼ同じか少し多いくらいPoopが出るらしい
- Kobra Xはヘッドが大きくて1層目の確認に時間がかかるらしい
- Kobra Xは本体上部に4本フィラメントをつけるので、揺れが激しめらしい
どっちを買うか決める
少し悩みますが、結論からいうとCreality SPARKX i7を買おうと思います。
理由はいくつかありますが、一番大きいのは「Anycubicのプリンターを買うなら、Kobra Xではなく、しばらく待ってKobra 4が日本で販売されるのを待ったほうがよさそう」と思ったからです。
Kobra 4は日本での販売がまだされていませんが、Anycubicの公式サイトを見ると、下記の価格で販売されています。
- Kobra X単体:344ドル(54,000円くらい)
- Kobra X + Ace 2 Pro(ドライボックス)コンボ:608ドル(96,000円くらい)
- Kobra 4+ Ace 2 Proコンボ:379ドル(6万円くらい)
つまり、しばらく待てばドライボックス付きの新モデルが数千円高いくらいの価格で買えるようになる可能性があるので、今急いでKobra Xを買わなくてもいいかなと思っちゃいました。
あと、Kobra XはAmazon上だと同じ商品が複数ページに分かれていて、同じ商品なのに値段が違うんですよね。





セット内容が違うわけではなく、全く同じ商品なのに価格が違うんです。
どういう理由かは分かりませんが、なんとなく不信感を抱いてしまいます。
一方でCreality側も、SPARKX i7とHi Comboという似た機種があるんですが、SPARKX i7の方が新しいので、今買っても損はなさそう。
Creality Hiはノズルがねじ込み式で交換が面倒なため、個人的には多少価格が高くてもワンタッチで交換できるSPARKX i7の方を使いたいです。
Creality Hiのノズル交換映像
SPARKX i7のノズル交換映像
あと、過去にCrealityの3Dプリンターを買った時、初期不良にあたってサポートに連絡したことがあるんですが、すぐに新品に交換してくれたので、メーカーの印象も結構いいんですよね。
ちなみに、SPARKX i7に付属するCFS Liteにはドライ機能はありませんが、僕は既に乾燥機能があるフィラメントボックスを2台持っています。


なので、CSF Liteに乾燥機能がないのも個人的には問題ありません。
湿気ってしまったフィラメントはこれで乾燥させ、造形中はCSF Liteで防湿するという方法で運用しようと思っています。
まとめ:今後詳しくレビューを書く予定です


ということでSPARKX i7 Color Comboを購入しました!
しばらく使ったら詳しくレビューを書きたいと思います。



数回プリントしてみたところ、結構よさげです。
ただ、今回はAmazonで購入したんですが、購入直後におそらく在庫切れでColor Comboが販売ページからなくなっちゃっていました。(単体商品はまだあります)
タイミングによっては公式サイトに在庫があったり安くなっていたりするので、購入を検討している方はCrealityの公式ECサイトもあわせてチェックしてみてください。



SPARKX i7の詳細レビュー書きました!









