イヤホンのレビューをしたいんですが、音質の評価って難しすぎません?
ギターを20年、DTM(パソコンを使った音楽制作)を10年やっているので、普通の人よりは耳の良さに自信があるっちゃあります。
ただ、プロのレコーディングエンジニアっていうわけではないですし、他人から見てそれが信用できるかどうかは分かりません。
あと、そもそも「良い音だと思うかどうか」に関しては、結局のところ自分の好みでしか語れないのは事実。
音楽制作を真面目にやってる人は、普段使ってる機材の音に近い方が「良い音」と感じやすいと思います。
mokeppi自分の制作環境に耳が慣れているので、それとは傾向が違う音だと「聞きにくい」と感じることが多いです。
なので、ある程度客観的に音質を判断するには、計測が必要不可欠です。
計測をすることで、客観的な数値で判断できるので、レビュワーの耳の精度への信頼性がなくても、レビューとしてはある程度信用できるものになるはず。
また、音質を評価するための基準として「ハーマンカーブ(ハーマンターゲットカーブ)」というものがあります。
計測することでハーマンカーブと比べられるようになるため、「自分の好みだから良い音」と言っているわけではなく、「ある程度信用できる『いい音の基準』とどれくらい近いか」を客観的に示すことができます。



ハーマンカーブに沿った音を「良い音」と感じない人もいるので、結局は好みなんですけどね。
もちろん、個人で計測環境を構築すること自体が難しいので、その計測結果が完璧に信用できるのかといわれれば、そうじゃないと思います。
だけど、計測をしていないただの感想を垂れ流すより100倍マシです。
特に、僕みたいにレビュワーとしての実績が大してない人が音質を語ったところで、それはただのポエムでしかないので、レビューとしての価値はほとんどありません。



というか僕は基本的に、計測していないオーディオレビューって全部ポエムだと思ってます。
あと、いろんなイヤホン・ヘッドホンを同じ環境で測定することで、完璧な測定環境じゃないにせよ、違いがちゃんと数値で判断できます。
測定したイヤホン・ヘッドホンの中に、皆さんが使ったことがあるものが含まれていれば、そこを軸に僕が測定した他の機器との差を想像しやすくなるというわけです。
というように散々「音質測定したいよ~~~」という熱意を語ったので、測定機器を作っていこうと思います。
測定装置の構想を練る
とはいえ、資金にそこまで余裕はないので、なるべく安く作りたい……!
YouTubeでいろいろ調べていて、参考にできそうだったのがFrieve-Aさんの動画です。



この方の動画、めちゃくちゃいい!
この方はオーディオ機器のレビューをする際に自作の測定装置を使っているようで、動画内で軽く測定装置について語ってくれていました。
安い機材を組み合せて作っているようなので、僕も基本同じようなもので作りたいと思います。
今回作るのは下記2種類です。
- カナル型イヤホンの測定装置
- ヘッドホン/オープンイヤー型イヤホンの測定装置
用意したもの



製作のために用意したものもまとめていきます。
測定用マイク(Superlux ECM-999)


測定用マイクはFrieve-Aさんが紹介していたものをそのまま買いました。
本格的な測定用マイクは数十万円以上することもありますが、こちらはなんと1万円切るという激安っぷり。
ハイエンド測定マイクと違い厳密な校正証明書(個別の測定グラフやデータ)などは付属していませんが、お手軽に測定したい人にはこれで十分らしいので、僕もこれを買いました。



噂によると、某有名オーディオメーカーのOEM製造元らしく、品質はしっかりしているんだとか。
オーディオインターフェイス(MOTU M2)


オーディオインターフェイスはもともと持っていたMOTU M2をそのまま使います。



マイクの音をPCに取り込むために必要です。


デジタル騒音計


音質を測定する際は、音量も揃える必要があるため、騒音計を購入しました。
熱収縮チューブ


こちらは耳管の再現のために用意しました。
測定マイクの先端や騒音計のマイク部分を包み込む必要があるため、結構太めのものが必要です。



細すぎるものを買ってしまったので、一度購入しなおしました…
僕と同じもので作る場合は、内径14mmが丁度よくておすすめです。
ピアス練習用シリコンイヤー


ヘッドホンやオープンイヤー型イヤホンの測定用に用意しました。
左右セットで安かったため、ルボナリエというメーカーのものを購入。
3Dプリンター


測定装置の外枠などの製作に、もともと持っていた3Dプリンターを使います。
左側の大きめサイズがBambu Lab A1、右側の小さいやつがBambu Lab A1 miniです。


カナル型イヤホンの測定装置を作る



カナル型イヤホンは、耳に挿し込んで使うタイプのイヤホンのことです。
カナル型イヤホンは差し込むことで低音を増強させることが前提となっている設計のため、耳管を再現した管に挿した状態で音を計測する必要があります。
今回は熱収縮チューブで耳管を再現していきましょう。
設計としては、片側にマイク、片側にイヤホンを差し込むだけの非常にシンプルなもの。
ということで早速やってみたのがこちら。


耳管の長さは35~40mmらしいので、先端部分がその長さになるようにカットしています。



非常に簡単にできました。
やったこととしては、マイク側はマイクを挿入した状態で熱して収縮をかけました。


マイクは金属製なので、そのまま熱して収縮かけても問題なかったです。
イヤホン側は、イヤホンを入れて熱すると、イヤーピースやイヤホン本体が溶ける可能性があります。
なので、ひたすらちょっとずつチューブを熱して微調整しました。





2回くらい熱しすぎて失敗しました。
僕と同じやり方で作る場合は、失敗前提で収縮チューブ長めに用意したほうがいいと思います。
ヘッドホン/オープンイヤー型イヤホンの測定装置を作る
次にヘッドホンやオープンイヤー型イヤホンの測定装置を作っていきます。
設計としては、穴の空いた板にピアス練習用のシリコンイヤーを取り付け、その穴に先程の収縮チューブ付きマイクを挿入。
イヤホンならこれだけでも測定できるんですが、ヘッドホン(特に密閉型)の場合は側圧がかかった状態で低音が出るように作られているので、ヘッドホンで挟み込めるような外枠も作ります。



できあがったのがこちら!


耳を取り付けた板は、人肌に少しでも近づけたかったので、TPUというやや柔らかい素材で作りました。


計測するときは、板の穴にマイクの先の収縮チューブ挿し込み、マイクを台座に置きます。


イヤホン測定時はそのままシリコン耳に取り付ければOK。


ヘッドホン測定時は、反対側にある出っ張った板部分を使って、側圧をかけて計測します。


試しに音質を測定してみた
続いてREW(Room EQ Wizard)というフリー測定ソフトを使って、試しに音質測定をしていきます。
カナル型イヤホンの測定
Nothing Ear (a)というイヤホンを測定してみました。


周波数特性の測定結果はこちら。


周波数特性カーブはちゃんと測定できてるみたいです。
「このイヤホン、20Hz以下くらいの超低音域もしっかり鳴っている気がする」という体感にも合っている測定結果でした。
ひとつ注釈を入れておくと、公式のハーマンカーブは業界標準の高額な測定治具(IEC 60318-4カプラーなど)を前提に作られているため、自作環境で測定したデータとそのまま重ねて100%厳密な比較ができるわけではありません。
あくまで傾向を見る目安として考えてください。
REWは他にもノイズやインパルスレスポンス、ウォーターフォールなど、さまざまな項目の計測結果が見られます。


ぶっちゃけ、細かい項目の見方が分からない人が大半だと思いますが(僕もそうです)、AIを使えば問題ありません。
それぞれの画面のスクリーンショットや、テキストファイルで出力した計測データをAIに読み込ませて、「このイヤホン・ヘッドホンの測定結果をわかりやすく解説しながら、100点満点で評価して」みたいなプロンプトで指示を出せば、いろいろ解説しながら評価してくれます。
ヘッドホンの測定
続いて、オーディオテクニカのATH-M50xというヘッドホンを測定してみました。




こちらも問題なく測定できていました。





上手く出来てよかった~!
これからのイヤホン・ヘッドホンレビューが楽しみ


ということでこの記事では、イヤホン・ヘッドホンの音質測定装置を作った様子をお届けしてきました。



今後イヤホン、ヘッドホンレビューをするときにガンガン活用していきたいです!













